そんな思いは伝わらない。 | monoblog

事務所やGalleryを運営してると、日々、課題・問題が積み上がっていきます。それは「積ん読」よりも早く、解決よりも先に新しい課題が増えていく。

昨年の3月に花藍舎さんの個展をgalleryはらいそで開催しました。雑誌『おきなわいちば』や『琉球新報』と『沖縄タイムス』といった沖縄の大手新聞が事前に作家へ取材をかけてくれたため、来場者や購入者が多く、作家やギャラリー側も驚くような盛況となった。やっぱり県内メディア、特に新聞の力は強いなぁと再確認。ふだん、ギャラリーに足を運ばない方でも作家や琉球藍、織物に興味があるなど、多くの方々が足を運んでくれた。

はらいそに来るお客様のメインは観光客。事前に情報を調べてカーナビやgooglemapなどを駆使してお店まで来てもらえる。個展の場合は県内の方も多く来場され、なかにはカーナビやスマートフォンなどを持ってない方も少なくない。ここで、私たちに立ち上がって来る課題が「ギャラリーの場所がわかりにくい」だ。似たような外観の建物が並ぶ外人住宅の一室で、角地でもなく、大通りにも面してない。外観でアイコンといえば庭に立つ「枯れ木」だろうか。しかし全く目立ってない。

個展開催中は問い合わせの電話が何度も鳴る。その多くが「おたくの場所がわからない」、、、「えーと、今どこにいます?」「周りに何か目立つものあります?」から始まり、頭の中に近隣のマップをイメージしながら、電話口の人の場所をだいたい把握して、そこからの行き方を「口頭」で伝えていく。この口頭がなかなか難しい。

「もう今日はいいよ!」と電話を切られた

お客様のなかで、隣町にいる段階で電話をしてきた人がいた。しかも、うるま市を越えて金武町まで行ってた。それは可哀想だと思って最短距離の行き方を伝えていく。ちょっとややこしいけど、ガソリン代の消費も少ないし、その道だと割とすぐに着く。
ただ、電話で説明してるうちに、だんだん相手がイライラしてきた。「あー?」「えー!?」「それじゃ、わかんないよ」と説明すればするほど、イライラが募っていて、こちらも申し訳ないと思いつつ、できるだけわかりやすく説明していた。だけど「もう、今日はいいよ!」と言われ電話を切られてしまった。あと角を二つ曲がって、道をまっすぐ行ったらウチが見えたのに。

その方は後日、再度トライして無事に辿りつけたらしい。自分は不在だったのだけど「おたくの男の人、道を説明するのが下手だねぇ」と言われたそう。説明に苦労する課題、スタッフからも難しいと言われた。むむむ、これはアカン。

ということで、近所をキョロキョロしながらクルマで走ってみた。電話で道を尋ねる人の多くは大通りからかけてくる。ギャラリー近くのランドマークの一つは公民館&図書館なんだけど、みんなよく知らない。実際見てみると、行政の建物っぽいけど、パッと見で図書館なのかはわからない。代わりに、大通り沿いの小学校は割とみなさん知っている。大通りから来るには「込み入った近道」と「遠回りだけど広い道」がある。口で伝えるには、広い道の方が説明しやすいかな。大通りから入る角には目立つ看板の弁当屋と眼科がある。ギャラリーへ入る道の角にはEXIT CAFEという飲食店があって、そこにはオレンジ色の目立つ看板に『EXIT』と大きく書いてある。土地勘の無い人は運転速度も遅いだろうから30キロ程度で運転しながら、説明しやすい道について考えてみた。

で、出来たのが「大通りを走ると眼科と弁当屋が向かい合って出て来るからそこを曲がって海沿いの道を30秒くらい走ってください。そうすると、英語が書いてあるオレンジ色の看板があるのでそこを曲がって頂上近くがギャラリーになります」でした。オレンジ色の看板文字は『EXIT』と正確に言わず、あえて「英語が書かれた看板」と説明してみた。

すると、みなさん迷わず辿り着くようになった。スタッフに伝えてもわかりやすく覚えやすい。全員が迷わず説明できるようになった。伝言ゲームは「わかりやすく伝えやすい」が良いんだな。

「なるべく近道で来てもらいたい」というのはこちらの「思い」。でも相手にとっては「わかりにくい」。そんな思いは伝わらない。お客様からすれば「辿り着く」ことが一番重要。そこは「近さ」より「わかりやすさ」が優先事項だった。そういえば「思い」を強く反映した結果、相手に全く伝わってないポスターや媒体、デザイン案件で過去に経験したことがあったような。。。今まで抱えていた課題が作家の個展で明確な問題になって、期間中にそれが一つ解決できた。

と思った矢先、夏に大きな台風が沖縄本島を直撃。そこで破損したのか、EXIT CAFEの目立つオレンジ色の看板が無くなってしまった! ルート説明で一番の肝だった「英語が書かれたオレンジ色の看板」が無くなって、代わりに目立つモノは、、、何も見当たらない。しかも、この台風で電線が切断して停電、復旧時に異常電流が流れて、事務所の電化製品の半分近くが故障で修理or買い換えの大惨事に!!

事務所やGallery運営は、日々、課題・問題が積み上がってくる。それは「積ん読」よりも早く、解決するよりも先に新たな課題が。。。。。


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