うつわが光って見えるとき | monoblog

「とっても残念」。そんな表情をするお客様。沖縄をいろいろ巡って、galleryはらいそに辿り着いた。お目当ての作家のシリーズはあったけれど、欲しかったものは売り切れて。私にもわかります。

朝、コーヒーを買いにファミマへむかう。目当てのサイズのカップを取って、セルフのコーヒーメーカーに置こうとした、そのとき。眼前には「掃除中です」というボードとともに掃除中。「えええぇぇ〜っ」って心の中で叫ぶ。きっと、お客様と同じ残念な表情をしているはず。「ソレちょっと違う」と突っ込まれそうです。確かに違うかもしれません。ただ、そういった「残念な瞬間」も旅の味わいの一つかと。だから、そんな体験をしに、不定期で工芸ギャラリーに行ったり、旅行へ行くことにしています。

その土地で売ってるもの、特に工芸品を手に取ってみる。あ、これいいな。しかしこれはウチの食卓に合うだろうか。日ごろ使ってる器を思い出す。こういうの好きだけど、たくさん持っているんだよな(例:片口)。。。などなど。無言で見ているようで、心の中ではいろんな会話が溢れている。ここは、はらいそへ訪れるお客様とズレてないか思ってる。

そして、おお、これか? これだろう、、、これは買いだろう! と思っても「いやいや、次の店に行ってそこを見極めてから最終的に戻って決めたい」などと、天使と悪魔の葛藤? 的な時間も始まってくる。何を買うかより、何を諦めるか。これも難しい。お財布も食器棚のスペースも有限なことに違いはない。そこで「買う買わない」の判断が正しかったかどうか。それは本人にしかわからない。

gallery運営はおろか、沖縄へ移住するずっと前のこと。冠婚葬祭で訪れた秋田県はちょうど桜の見頃で、名所「角館(かくのだて)」に赴いた。そこで見つけた地元の工芸品・樺細工(かばざいく)の丸い小物入れ。質感もサイズもかなり良い。スライド式なフタの開け閉めの滑らかさが「スッとしっかり」していて、今まで知らなかった感覚。直感的に「コレ欲しい!!!」と思ったんだけど、割と良い値段。冷静に考えはじめ「何を入れるんだコレに?」と思い、買わなかった。

この小物入れ、今でもたまに思い出すんです。なにより、今は入れたいモノがある。あるからこそ、なおさらこの小物入れが欲しい。しかし、どうしようもない、、悶々。そんな感じで、買わなかった器やお皿、小物たち。そんなモノたちがどうなっていくか。本人にはわからないけど、はらいその売り場に立つなかで見ることができました。

はらいそがオープンする少し前、エイ出版が発行する『トリコガイド』という観光情報誌の取材を担当させてもらった。「沖縄のクラフト・工芸を扱うギャラリー」のコーナーを任され、GARB DOMINGOPORTRIVER MARKETtentituti OKINAWAN CRAFTRENEMIAmofgmona no zakka、などなど、県内では有名なクラフトを扱う店舗を巡っていった。ギャラリーをオープンする自分たちにとって、非常に参考になった取材だった。誌面に掲載するための情報を取材する他に、仕入れ、包材の入手先、苦労する点について、などなど、店舗運営に関する、こちらの見えてない部分や不安要素を根掘り葉掘り伺っていた記憶がある。そんななかで、ガーブドミンゴのオーナー・藤田さんが興味深いことを言っていた。それは「光って見える器がある」という。

器が光る!?

展示している器のなかで光って見えるものがある。昨日や一昨日からではなく、今日に限ってよく光る。レイアウトや配置を変えたときに、光って見えるものもある、とおっしゃってた。日差しが当たってキラキラ光る、ということではなく器の中から光を放っている。そんな「光る器」たちは、お客様によく手に取られ、そしてすぐに買われていくそうだ。買われる器から、何らかのオーラが出ている。凄いな。そして、それを見極めている藤田さん(奥様)、さらに凄い。

galleryはらいそは、今年の10月で5周年を迎えます(しつこい)。そして売り場を見渡して「光る器」、まだ見たことはありません。ただ「よく手に取られる器」は見かけます。それが「光って見えてない」だけなのです(眼力、まだ備わっていないようです)。そしてやはり、手に取られている器は、入れ替わり立ち代わり来るお客様に手に取られ、その日のうちに購入され、旅立っていくことがあります。最初に来たお客様が手に取って、時間をかけて悩みになやみ、悩まれて、、、最後は買わずに帰られる。その30分後、別のお客様が来店して、一直線にその器に進んで手に取って、そのまま購入。こんなシーン、一回や二回ではございません。

ご縁があるかは、待った無し。

ふと手に取ったその器。自分では気づかずとも、きっと何かのオーラを発してるんだと思います。見る人が見れば「光る器」です。そして置いて帰ったあとどうなるか。見えないオーラがより増して、その後に来店された誰かの手に触れて、そして旅立っていく。なので「いいな」と思えば、待った無し。「違う」と思えば、ご縁がなかった。後で戻っても、、、後悔する現実が待っている、と思った方がいいでしょう。この、戻ってきたときの『あー、さっきの器、売れちゃいましたよ』と伝えたあとの、お客様の表情。こういった感情の起伏、これもまた旅の醍醐味ともいえるのかもしれません。

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