宇宙飛行士とキャノンボール|monoblog

今年で46歳になりました。いま日本人男性の平均寿命(確か80歳くらい?)からすれば、折り返し地点は過ぎている。そんな自分が、移住した地域へ何が貢献できるのか。沖縄の事業者として8年が経ち、おかげさまで? ここ数年、市内の高校生や中学生の学生インターンを受け入れている。

業務内容は「デザイン」や「工芸ギャラリー運営」と伝えている。今のところ100パーセント来るのは女子。ほとんどは仲良しの2人組か1人。たまには男子も来てもらいたいと思うけど、性別関係なく、来た子はみんな大歓迎。

インターン受け入れで必須事項

子供たちを預かる身として、まず怪我とかないような仕事を考える。カッターの切り貼り作業とか頼みたいけど、止めておく。ヒマなのは辛いだろうから期間中、一日のうちなるべく途切れることなく担当できる業務をつくっておく。こちらで仕事の流れは最初から終わりまで把握しつつ、選択肢のある仕事もやってもらう。考えたり、友人と相談しながら答えを出して作業してもらうこともある。インターンは受け入れる側の準備、必須です。

今の学生の子たち、みんな、いい子が多い。もちろん良い意味で。好奇心旺盛で、やる気がある。ウチに来る子は、あまり引っ込み思案の子がいない。積極的に仕事をする。そんな印象。ひょっとしたら学校から、ポジティブに動くように、といったことを言われてるのかもしれない。お願いした仕事はたいてい、こちらの思っていた時間よりも早く、そしてキチンと仕事を終わらせてくれる。そしてやっぱり、ヒマなのはつまんなそうだ。

グラフィック専攻の高校生が最終日にくれた似顔絵。
こういうの、素直に嬉しいッス。

グラフィックデザインを専攻していた2人は、それぞれ一台ずつマシンを解放して、主催するイベントの告知ポスターを制作してもらった。同じ内容、素材を使っても二人とも全く別の個性的なポスターを仕上げてくれた。また、ツーリズムを専攻している2人が来たときは、同じく主催するイベントの告知ツールを持って市内の公共機関や人がたくさん集まるお店や場所を巡り、ポスターやフライヤーの設置を依頼してもらった。もちろん同行して、インターンの説明をしてから、学生たちに交渉してもらうのだけど、みんな交渉や説明がどんどん上手くなっていく。結局、一件も断られることもなく、100%設置させてもらった。

先日きた学生インターンは、小学生時代に英検一級合格という、日本国内を見てもレアなツワモノ中学生。将来の夢は「宇宙飛行士」。英語が得意ということで「工芸作家のプロフィールを英訳してもらう」という割とガチな仕事をお願いした。もちろん「出来る範囲で」「終わらなくてもいい」し「疲れたら休む」。「わからないところは飛ばしていい」、といった感じで。すると、専門用語などはgoogleで調べながら、それでもわからない部分は赤字にしつつ、17組分のプロフィール、期間中に翻訳してしまった。凄い!

無茶ぶりの牽制球

その子がインターンに来ているタイミングで、とある商品のパッケージデザインについて打合せが入っていた。クライアントに断りをいれつつ、現場見学として同席。「あくまで聞くだけ」と伝えたけど、ノートとペンを持参して、打合せ中にもメモを取っていた。非の打ち所が無い彼女に、打合せの終わり際「じゃあ、ここでナツミさん(仮名)に、この打合せについて一言いただければ」という無茶ぶり牽制球を投げてみた。その反応や、いかに!!?

いただいた感謝状。テキストの内容もしっかりしてて、字もキレイ。

私たちやクライアントからの視線を一身に集め、ええええ〜って表情をしながらも「えぇっと、デザインの打合せというのは、商品についてやラベル・デザインの内容についてだけ話し合うものだと思っていましたが、実際は使われている素材やどこで作られてるのか、どこで売られるかとか、あとは相手(クライアント)の好きな色とか、興味とか趣味とか、デザインとは全く関係ないことまでも、たくさん話を聞くんですね」と。

おおおおお〜っ! ってなった。打ち合わせの状況や内容を分析しつつ、自分の思ったこと、考えをキチンと明確に大人たちに伝えてくる。この子、ホントに宇宙飛行士になれるのではないか。『少年よ大志を抱け』と言いますが、夢を持って、それに向かっていくモチベーションと集中力。ホント子供の未来って無限だな、って思った。

人生何が起こるかわかりません。

そして思い出した、自分が小学校の卒業文集に書いた自分の将来の夢。それは「キャノンボールに出場したい」だ。『キャノンボール』とは、アメリカの公道を横断する違法なレースをコミカルに描くアクション映画。『チキチキマシン猛レース』の実写版みたいな内容。道交法違反バリバリだから、もちろん架空のレース。確か内容もそれほど、、、、だったんだけど、当時大好きだったジャッキー・チェンが出ていた、ということで自分の夢としてしまった。宇宙飛行士とキャノンボール。その差たるや雲泥どころか、比較表現すら思い当たらない。

因みに、自分がデザインを志したのは26歳の頃。雑誌の編集をしていた当時、仕事をお願いしていたデザイナーから「デザイン業務をしばらく経験してから編集に戻れば、仕事の見え方もきっと変わってくるよ」と誘われ「そういうものか」と真に受けてアシスタントに。それまで、自分がデザイナーになろうなんて、これっぽっちも考えてなかったけど、かれこれ20年。人生何が起こるかわかりません。いまだキャノンボールに出場はできてませんが、夢を持つことは素晴らしいことだと感じています。

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